業種業態シリーズ

6)業者への支払い(その2)
業者への支払いでも工事を”丸投げ”する場合、
たとえば、分譲マンションを建設する場合、お近くの工務店に発注してもマンションは建てられません。やはり、ゼネコンと呼ばれる工務店よりも大きな総合建設業者に発注することになると思います。
この場合、工事委託・受託契約で下記のような取り決めをしたとします。
工期:〇〇ヶ月 総額:3億円
支払い条件:1ヶ月目着手金 6千万円
        3か月目中間金 1億2千万円
        完工時       残額(+消費税)

1か月目 未成工事支出金/工事未払金 ⇒ 工事未払金/当座預金
3か月目 未成工事支出金/工事未払金 ⇒ 工事未払金/当座預金
完工時  未成工事支出金/工事未払金 ⇒ 工事未払金/当座預金

ですが、
消費税の処理に注意があります。

着手金と中間金は、消費税を加算せずに計上・支払、完工時は着手金と中間金の消費税分も合わせて計上・支払いをします。

着手金  6千万円
中間金 12千万円
完工時 22千万円+消費税15百万円

7)工事の完了
工事が完了すると、通常は引き渡しとなりますが、分譲住宅の場合はお客様が決まっていないこともあります。よって、本体工事が完了すると完成在庫に計上することになります。

販売用不動産/未成工事支出金

※材料費、労務費、外注費、経費、土地の補助科目別に振り替えます。

7)土地建物の按分処理
分譲マンションの場合、本体工事が完了=竣工したら、個々の部屋を分譲していきます。当然、売上高(完成工事高)を計上する訳ですが、同時に売上原価(完成工事原価)も計上します。つまり、部屋別に売り上げを上げるということは原価も部屋別にしなければなりません。それが、土地建物の按分処理です。

販売用不動産(Aマンション101号室)/販売用不動産(Aマンション)
販売用不動産(Aマンション102号室)
販売用不動産(Aマンション201号室)
販売用不動産(Aマンション202号室)
販売用不動産(Aマンション301号室)

※材料費、労務費、外注費、経費、土地の補助科目別に振り替えます。

この場合の按分基準は、部屋の専有面積比で按分することが多いようです。(それ以外で根拠のある按分基準は難しいと思っています)
結果として、201号室と301号室が同じ面積の場合、売上原価(完成工事原価)は同額となります。しかし、販売価額は201号室と301号室では同額とは限りません。301号室の方が高い場合、301号室の利益率は高くなり、201号室の利益率はそれよりも低くなります。原価は同じだが、価値は高い(付加価値が高いとも考えられる)ということになります。

分譲住宅(戸建)の場合は、分譲地(土地)の原価を按分します。

次回は、引き渡しに伴う「完成振替処理」と「借入金の処理」について説明します。