今回は、業種・業態シリーズ「不動産管理業」を解説します。
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 不動産管理業とは何でしょう? 皆さんの中には、賃貸マンションにお住まいの方、「学生時代にボロアパートに住んでいたなぁ」という方も、いらっしゃるかと思います。当然のことですが、みなさんは家賃を支払っていたことでしょう。「え? 払えないことがあった?」 そういう人もいるかもしれません。
30~40年前までは、毎月大家さんのところに家賃通帳と現金を持って行くものでした。ところが、いつの頃からでしょうか、銀行口座から勝手に引かれるようになってしまいます。なぜ、(勝手に!?)持っていくようになったのでしょう。

主な理由は3つあります。
1つ目は、滞納させないためです。お金を持っていくのを忘れたり、お金が足りなくなったりする事故を防ぐ目的があります。

2つ目は、現金を置いておきたくないからです。大家さんのところには、毎月決まった時期に大金が集まることになります。泥棒や強盗から現金を守るため、銀行間でお金を動かしてしまおうということです。

そして、今回のポイントの3つ目です。"業者"が効率的に家賃を回収するために口座振替を利用するからです。
大家さんは、家賃収入だけでは食べていけなくなり、サラリーマンをしながら大家をしている人がたくさんいます。そうなると、大家さんの仕事を専門の業者にお願いしなければならなくなってきました。賃貸住宅の収入は副収入になっているのです。
 そうなると、家賃の集金や滞納者への督促、上の部屋がうるさいだの、廊下の電気が切れただの、大家さんの仕事は”自分だけ”ではできません。よって、代わりにこれらの仕事を引き受けてくれる人が必要になるわけです。それが、不動産管理業者です。

不動産管理には、3つの契約形態があります。fudosan002
(1)業務管理契約
(2)サブリース契約
(3)建物管理契約

(1)業務管理契約とは、入居者の募集、入退去手続き、家賃収納(集金)、物件の維持管理、クレーム対応などを委託・受託する契約で、家賃総額の数%~10%程度の委託手数料を支払います。つまり、大家さんの仕事のアウトソーシングです。

(2)サブリース契約は、物件の所有者(=オーナー)から物件を一括して借り上げ、それを入居者に又貸しする契約です。たとえば、賃貸マンションを一棟まるごと借り上げ、個々の部屋を入居者に賃貸します。この契約では、入居者の募集などの大家さんの業務は物件を借り上げた側の業者が行います。オーナーはその業者から一棟分の家賃をもらうだけです。この場合のオーナーが受け取る家賃は入居者の払う家賃の10~30%引きの額になります。

(3)建物管理契約は、入居者にかかわる業務はオーナーが行い、物件の維持管理やクレーム対応などを管理業者に委託するもので、おもに住宅ではなく、オフィスビルの管理を請け負う業者がほとんどです。

次回は、不動産管理業務の特徴を説明していきます。